ゴールド・金のインゴットを所有していたケース【相続税事例】

ゴールドのインゴットを所有していたケース
こんにちは。
税理士の長野です。
今回も、私が相続税申告のお手伝いをしたケースについて、論点整理をしながら、簡潔に、ご紹介させて頂きます。
実際の事例を通じて、皆様の将来的な相続に備える一助になれば幸いです。
※個人情報が漏洩しないよう、家族構成や財産内容は脚色しているので、予めご了承ください。
【家族構成】
被相続人:父(85歳)
相続人:相談者長男(58歳)、弟(55歳)、母(83歳)
【財産構成】
自宅:2,900万円
現預金:2,400万円
有価証券:2,000万
ゴールド:1,800万円
生命保険:母1,000万円
財産合計: 10,100万円
家族構成

財産構成_ゴールドのインゴットを所有していたケース

【相談内容】
父に相続が発生したため、相続税申告のご依頼
【ニーズ】
・ゴールドはどうやって相続税申告したらいいか
・ゴールドをどうやって相続人間で分けたらいいか
・相続税申告後はゴールドを所有し続けたほうがいいのか、それとも、売却したほうがいいのか相談に乗ってほしい
相談者長男(58歳)

ゴールドを父が持っていることは知っていたけど、
まさか、こんなに持っているとは。

【論点】

ご相談者は、亡くなった方の子供でした。生前にお父様は運用を分散して行っており、有価証券や生命保険のほかにもゴールドを現物で金庫に所有していました。通常の相続税申告でしたらご自身で対応しようと考えていたようですが、ゴールドのインゴットを所有されておったので、専門家に相談することに決め弊事務所にお問合せ下さり、ゴールドについて相談を受けました。
なお、そもそもゴールドの所有方法は2つあり、1つは今回のように現物で所有する方法、もう1つは純金積み立てという方法です。純金積み立てとは、田中貴金属や三菱マテリアルなどの金販売業者などが販売しており、例えば、ドルコスト平均法のように、毎月一定額を金販売業者の口座で積み立てていく方法です。投資信託を購入するイメージで、実際に、ゴールドが家に届くわけではありません。現物を購入するとなると、1個あたりの単価が高額になりますが、純金積み立ての場合は、毎月数千円から投資することができるため、有価証券とは別に分散して少額から投資されたい方には向いている投資手法です。

【長野拓矢税理士事務所の対応方法】

ゴールドを相続税申告することは、一般の方々にとっても難しいことではありません。
「相続発生日時点の時価×重さ」で算出することができます。
「相続発生日時点の時価」は金販売業者のサイトにて確認することができます。「重さ」は、現物でしたらインゴットやゴールドバーという現物には重さが刻印されており、純金積み立てでしたらネット口座で確認できます。
このように、評価額は比較的容易に算出できますが、誰が相続するかについては時間を要することが多いです。
例えば、相続財産を相続するとき配偶者がまだ生きている場合は配偶者が相続することが一般的には多いですが、ゴールドはこれまで価値が上昇し続けてきたため、ゴールドを相続した配偶者が長生きし、その後、配偶者に相続が発生した場合、配偶者が相続してから上昇した含み益についても課税されてしまいます。また、現物のゴールドが1kgのインゴットが1つの場合、相続人間で等分に分けるというのも難しいことでしょう。
このため、現物のゴールドを所有する場合は、投資価値だけに着目せず、分けやすさという観点、つまり、高額な重さを1つよりも少額な重さを複数所有したほうがよいといえます。
なお、ゴールドを持っていた方の相続税申告案件では、ゴールドが現物なので、時折、「申告しなくても税務署にはバレないのではないか?」と質問を頂くことがあります。お気持ちは分かりますが、「税務署にはいずれバレるので正しく申告しましょう」と案内しています。
なぜバレるかといいますと、金を売買した際に売買金額が200万円を超えた場合、取引業者側が税務署に対して「支払調書」を提出します。この「支払調書」とは誰がいくらでどれくらい取引が行われたかを業者が税務署へ共有する書類です。
2012年1月1日以降は、ゴールドも支払調書の提出が義務付けられ、税務署は個人の方がゴールドを購入した時点で既に把握しています。そのため、把握している所有者が将来売却して儲かっているのに申告していないと税務署から問い合わせが入るという仕組みです。

【ここがポイント!】

長野拓矢税理士事務所は、相続税申告だけでなく、その後のフォローにも気を配っています。
ゴールドは、ここ数十年の取引相場を見る限り、長期的には上昇し続けています。そのため、今回の相談者も時価相場では、2,000万円近く所有しています。これは投資家にとって非常に喜ばしいことですがゴールドは難しい側面も持っています。
例えば、個人的には、ゴールドは有価証券よりも売却しづらいという印象です。なぜなら価値が上昇し続けているため、売却しようと考えても、「この先も価値が上昇するなら、いま売却するのは損ではないか?」という「損する心理」が働いてしまうからです。
相続した方が余裕を持った生活をできているならともかく、少しでも金銭が必要に感じているのでしたら、私から「相続というタイミングが売却する1つのタイミングではないでしょうか」という投げかけをしています。

ゴールドを売却する場合は下記のような計算式になります。
下記にて算出金額は売却した年の他の所得と合算し所得税を計算します。
・所有期間が5年以内の場合
売却価額 ー (取得価額+売却費用) ー 特別控除50万円
・所有期間が5年を超える場合
(売却価額 ー (取得価額+売却費用) ー 特別控除50万円) ×1/2
※所有期間
相続の場合:被相続人が購入してから相続人が売却するまでの期間

ここで注目してほしいポイントが、特別控除50万円です。これは納税者ごとに設けられているため、売却する人数が1人では特別控除50万円の枠が1つしか使えませんが、売却する人数が3人に増えれば特別控除50万円の枠も3人分、つまり150万円分のゴールドを売却しても無税になります。
そのため、今回は相続人皆様と何度か話し合った結果、ゴールドは家族で等分して相続し、毎年所得税の負担がなるべくかからないよう特別控除50万円の枠を上手に使って、少しずつ売却していくこととなりました。
さらには、下記のような点も状況によっては検討する余地があります。
・相続税申告期限から3年以内の譲渡では「取得費加算の特例」が使えないか
・今後所有し続けるにしても、現物のため盗難リスクなど管理する負担が生じないか
・ゴールドは有価証券のように配当金や株主優待はないこと
・ゴールドはNISAのような非課税枠がないこと
→NISAを使い切っていないなら、有価証券の運用に切り替えることも選択肢の1つ

弊事務所では、このように、相続税申告後のアフターフォローにも力を入れています。直接的な業者ではないからこそ、一歩引いた視線で落ち着いて相談できることが強みと考えています。

今回は、
「家族だけで話し合ってもまとまらなかったと思います。家族みんなに気を遣ってフォローして下さりありがとうございました」
と、仰って頂けました。
私の仕事ぶりを評価されたようで嬉しく思いました。

【まとめ】

ゴールドを所有している場合
①資産運用にはなるが相続税対策にはならない
②売却益が50万円以内であれば無税なので相続後に売却も要検討
③現物の場合は管理も大変
さいたま市・大宮で「相続」に悩んだら、まずは、長野拓矢税理士事務所(048-779-8512)までお気軽にご相談ください。分かりやすく親切丁寧にご対応させて頂きます。

【著者プロフィール】長野拓矢(ながのたくや)|長野拓矢税理士事務所 所長
税理士として10年以上のキャリアを有する資産税の専門家。
「家族がもっと幸せになるために相続という場面では何をしたらいいか」そんなお客様の想いに寄り添った対応を心掛けると共に、最新の税制のキャッチャアップを常に行い専門家として何ができるのかを常に考え続けている。
相続だけでなく事業承継にも精通しており、地域経済を担う中小企業の経営者向けに自社株式の承継コンサルを多数行ってきた実績が評価され、埼玉県事業承継・引継ぎ支援センター(公的機関)の専門家としても長年従事している。
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