不動産を相続する際の注意点

不動産を相続する際の注意点

不動産を相続するときは、できる限り一人の相続人が単独で取得する方法を検討することをおすすめします。
相続人が複数いると、「公平に分けるために共有名義にしよう」と考えることがあります。しかし、不動産の共有は将来の売却や管理を難しくする原因になることがあります。

特に注意したいのが、その次の相続です。 共有者が亡くなるたびに持分が次の世代へ引き継がれ、共有関係がさらに複雑になる可能性があります。不動産の相続は、目の前の分け方だけではなく、将来まで見据えて決めることが大切です。

不動産の共有相続は慎重に判断しましょう

預貯金であれば、相続人それぞれに分けることが比較的容易です。しかし、土地や建物は物理的に分けることが難しく、共有名義で相続するケースがあります。

例えば、兄弟2人で実家を2分の1ずつ共有すれば、その時点では公平に見えます。しかし、共有不動産全体を売却する場合には、原則として共有者全員の同意が必要です。
一人は「売却したい」、もう一人は「残したい」と考えれば、話が進みにくくなることもあります。
相続時の分けやすさだけでなく、その不動産を誰が利用し、将来どうするのかまで考えて決める必要があります。

次の相続で共有者が増えることも

税理士として特に注意していただきたいと感じるのが、共有したまま次の相続を迎えるケースです。

例えば、兄弟2人で土地を共有し、その後、兄が亡くなって持分を2人の子どもたちが相続すれば、共有者が3人に増えます。さらに弟にも相続が発生すると、当初は兄弟だけだった共有関係が、いとこ同士で共有関係となり、さらに数十年後には、その子どもたちへ拡がることも考えられます。
共有者が増えるほど、関係者同士の交流が少なくなったり、所在を把握しにくくなったりする可能性もあります。その結果、 共有者全員で意見をまとめられなくなり、不動産を動かせなくなってしまいます。

相続が繰り返されることによって、将来の管理や処分が複雑にならないよう注意が必要です。

30年、40年先に問題が表面化することもあります

不動産の共有で難しいのは、相続した直後には問題が見えにくいことです。
兄弟姉妹の関係が良好であれば、当面は共有でも困らないかもしれません。しかし、その状態が30年、40年と続けば、それぞれの家族構成や生活環境も変化します。さらに相続が発生すれば、共有者同士がほとんど面識のない親族になることも考えられます。

税理士としては、「今困るか」だけではなく、「次の世代が困らないか」という視点も交えて考えることが重要だと感じています。
今は問題がなくても、長期的な視点を持って相続する方法を決めましょう。

単独相続なら将来の判断もしやすくなります

不動産を一人が単独で相続すれば、共有による意思決定の複雑化を避けやすくなります。
ただし、不動産を一人だけが取得すると、他の相続人との公平性が問題になる場合があります。その場合には、不動産を取得した人が他の相続人へ金銭を支払う「代償分割」なども検討できます。

また、不動産を売却し、その代金を相続人で分ける「換価分割」という方法もあります。
・一人が不動産を取得する現物分割
・一人が取得し、他の相続人へ金銭を支払う代償分割
・不動産を売却して代金を分ける換価分割

共有ありきで考えず、ご家族や財産の状況に合った方法を選ぶことが大切です。

将来を見据えた不動産相続を考えましょう

不動産の共有相続がすべて問題になるわけではありません。家族構成や利用目的によっては、共有が適している場合もあります。

ただし、「平等だから」という理由だけで安易に共有を選ぶことはおすすめできません。
共有者に相続が発生すれば持分が次の世代へ引き継がれ、共有関係が複雑になる可能性があります。

不動産を相続する際は、できる限り単独相続を基本として、代償分割や換価分割も含めて検討しましょう。今だけではなく、30年、40年先まで考えて決めることが、ご家族の将来の負担を減らすことにつながります。

【著者プロフィール】長野拓矢(ながのたくや)|長野拓矢税理士事務所 所長
税理士として10年以上のキャリアを有する資産税の専門家。
「家族がもっと幸せになるために相続という場面では何をしたらいいか」そんなお客様の想いに寄り添った対応を心掛けると共に、最新の税制のキャッチャアップを常に行い専門家として何ができるのかを常に考え続けている。
相続だけでなく事業承継にも精通しており、地域経済を担う中小企業の経営者向けに自社株式の承継コンサルを多数行ってきた実績が評価され、埼玉県事業承継・引継ぎ支援センター(公的機関)の専門家としても長年従事している。
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