新紙幣によるタンス預金への影響

tannsu
こんにちは。
税理士の長野です。

今回は、私が税理士として情報収集している最新情報について、個人的見解を踏まえながら、
簡潔に、ご紹介させて頂きます。
皆様の将来的な相続に備える一助になれば幸いです。

※情報提供のスピードを重視しているため法律上不確定な情報も含まれること、投稿日時点の情報であるためご覧になったお日にちによっては状況が変わっている可能性があること、私の個人的な推測や憶測も含まれることを、予めご了承ください。

【概要】

2024年7月3日に新紙幣が発行されました!明るいニュースのようでなんだか嬉しいですね。私の事務所は大宮駅にありますが、最寄りの金融機関では、皆さん、両替をしようと見たことのないような人だかりができていました。新しいデザインの紙幣をいち早く触ってみたい気持ち、大変よく分かります。
新札には日本の先端技術を利用して偽札対策がされているようで、日本が世界に誇れる紙幣となることも期待されます。
このように、一般の方々にとって、比較的ポジティブに捉える方も多いかと思いますが、一方、ネガティブに捉えている方もいます。それは、「タンス預金」をされている方々です。主に相続対策と思われますが、当事者の方々は、大金を今後もずっと旧紙幣のままにしておくわけにはいかないと思いつつも、具体的にどうしたらいいか分からないというのが実情かと思います。論点整理をしてみましたので、今後の対応の参考にされてみてください。

【論点整理】

そもそもなぜタンス預金を行うのでしょうか。現金で持っている安心感や日本の国家財政への懸念からペイオフが怖いという不安感もあるかもしれませんが、主な動機は相続対策かと思われます。
昨今、富裕層の取締りは年々厳しくなり、マイナンバーや財産債務調書など、個人財産や個人情報が国や税務署に管理されるようになったと感じる方も増えたのではないでしょうか。
そのため、上場株式や不動産とは違い「現金」であれば足がつかないと考え、国や税務署に把握されぬよう時間をかけながら少しずつタンス預金は増え、日本全国のタンス預金の総額はなんと60兆円に及ぶという試算もあるほどです。 しかし、タンス預金だからバレないというわけではありません。税務署も多方面から情報収集を行い、こういった案件には力を入れて調査します。
どのように調査するかといいますと、例えば、過去の通帳を調べます。
皆さん、どこからか収入を得て日々の生活を営んでいますが、お金のやり取り全てを現金だけで完結させることは非常に難しい世の中になっています。例えば、毎月給与をもらっている方は口座に入金されるでしょうし、クレジットカードを利用されている方も必ず口座引き落としとなっています。口座を通る入出金は記録として残るため、税務署はこういった入出金を調査の糸口としていると考えられます。
また、国税庁には、「国税総合管理システム、通称、KSKシステム」というものがあり、このシステムには、納税者の個人情報が蓄積されています。過去の申告情報はもちろん、不動産情報や所得情報などを一元的に管理しているため、こういったデータベースも税務調査では活用されています。
もし、多額なタンス預金が税務調査で見つかった場合は、重加算税が課されることもあるので、相続税申告の際にタンス預金が存在する場合は、適切に申告を行いましょう。
タンス預金自体が悪いわけではなく、相続税申告の際に、「現金」としてタンス預金の金額を正しく申告する分には全く問題ないので、ご安心ください。
タンス預金をされている方の中には、1,000万円以上のタンス預金をされている方もおられるかもしれません。そのような方が、これを機にと200万円を超える現金を交換しようとすると、金融機関がいわゆるマネーロンダリングなどの犯罪を疑った場合、本人確認がされます。懇意にしている金融機関担当者や専門家の方がお近くにいる場合は、正直に話して、どのような対応をすればいいか早めに相談してみましょう。
「犯罪収益移転防止法」といった見慣れぬ言葉が出てくるとなんだか怖くなってしまうのが心情かと思います。しかしながら、タンス預金をそのままにしておき、たとえ相続税を免れたとしても、インフレに連動しません。例えば、1,000万円のタンス預金は10年経っても15年経っても変わらず同額の1,000万円のままです。しかし、その1,000万円を元手に10年間、年5,6%の複利で運用できた場合、10数年間で2倍の2,000万円になる見通しです。
このように、相続が発生するまでの時間が長ければ長いほど、不動産投資・金融商品投資への機会損失のほうがもったいないですし、かえって損をしてしまうのではないでしょうか。
私は税に対する考え方として、払うものは適切に払った上で金銭を適切に運用したほうが心情的にも金銭的にも結果として得すると考えております。これを機に、タンス預金をどうにかしたいと悩んでいる方は是非お気軽にお問い合わせください。

【検討時期】

令和6年7月以降

【今後の注目点】

・「タンス預金」をいつ新紙幣に交換するか
・交換した新紙幣を今後はどのように管理・運用するか
新紙幣のタイミングを機に、家に眠る「タンス預金」をどうしていくか具体的に考えていきましょう!
さいたま市・大宮で「相続」に悩んだら、まずは、長野拓矢税理士事務所(048-779-8512)までお気軽にご相談ください。分かりやすく親切丁寧にご対応させて頂きます。

【著者プロフィール】長野拓矢(ながのたくや)|長野拓矢税理士事務所 所長
税理士として10年以上のキャリアを有する資産税の専門家。
「家族がもっと幸せになるために相続という場面では何をしたらいいか」そんなお客様の想いに寄り添った対応を心掛けると共に、最新の税制のキャッチャアップを常に行い専門家として何ができるのかを常に考え続けている。
相続だけでなく事業承継にも精通しており、地域経済を担う中小企業の経営者向けに自社株式の承継コンサルを多数行ってきた実績が評価され、埼玉県事業承継・引継ぎ支援センター(公的機関)の専門家としても長年従事している。
長野拓矢税理士事務所 事務所案内|著者紹介ページはこちら