令和5年度路線価を受けて①

路線価
こんにちは。
税理士の長野です。

今回は、私が税理士として情報収集している最新情報について、個人的見解を踏まえながら、
簡潔に、ご紹介させて頂きます。
皆様の将来的な相続に備える一助になれば幸いです。

※情報提供のスピードを重視しているため法律上不確定な情報も含まれること、投稿日時点の情報であるためご覧になったお日にちによっては状況が変わっている可能性があること、私の個人的な推測や憶測も含まれることを、予めご了承ください。

【概要】

今年も令和5年度の路線価が公表されました。7月になると、毎年、路線価のニュースが出ますね。中でも、銀座5丁目「鳩居堂前」の路線価が○年連続全国No.1など目にする機会も多く、初夏の風物詩のように感じている方も多いのではないでしょうか。
全国で路線価の上がり幅が大きい都道府県をみると、第1位:北海道+6.8%(前年比)、第2位:福岡県+4.5%(前年比)、第3位:宮城県+4.4%(前年比)でした。一方、全国で最も下落した都道府県が、和歌山県△1.2%(前年比)でした。今年はコロナ禍もひと段落し、大都市圏や観光地を中心に路線価が上昇しています。
しかしながら、どの都道府県が上がった下がったというニュースを、一般の方々が聞いてもよく分からず正直他人事かと思いますので、そういったニュースを少しでも面白く読めるように今回は路線価の解説をしたいと思います。

【そもそも路線価とは?】

そもそも、路線価とは、路線(道路)に面する土地の1㎡当たりの価額を指します。そして、土地を所有している方に相続が発生した場合、その土地の相続税における評価額(以下、相続税評価額といいます)を算出する際に用います。
しかしながら、どの土地にも路線価が設定されているわけではありません。大まかにいえば、都心部や地方の中心部には路線価が定められていますが、農地や空き地が多いエリアには路線価が定められていません。したがって、今回の路線価ニュースが影響する方は、比較的所有している土地の金額が高い、つまり、相続税が発生する可能性が高い方といえます。
分かりやすく、土地の評価方法を図示すると下記の通りです。
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また、路線価を使って計算した金額というのは、本当に土地の値段を表すのか疑問に思う方も多いと思います。時折、相続した不動産を売却しようか考えている方が、

「この土地の相続税評価額が8,000万円ということは、土地の売却価額が8,000万円くらいと考えていいのかな?」

とご質問頂きます。
しかし、答えは ×(バツ) です。
相続税評価額8,000万円の土地を売却したら、およそ1億円になります。

これはなぜかといいますと、路線価は、

「国土交通省が発表する1月1日時点の公示地価(いわゆる時価)の80%を目安に、周辺地域の売買事例や不動産鑑定士などの意見をもとにし国税庁が算出している」からです。

なんだか難しい表現になっていますが、要は、

「もし、土地の時価が下がったとしても、相続税評価額を算出する上の指標である路線価自体を安くしておけば、納税者が損をしないでしょ」

という国税庁側の納税者への配慮です。
まだ難しい表現かと思いますので、具体例を交えて考えていきましょう。

まず、下記のように、相続税評価額と同額で売却できれば問題ありません。
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では、次に、相続税評価額1億円で相続税申告を行いましたが、その後、地価が下がってしまった場合は如何でしょうか。
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上記の場合は、納税者がなんだか損をしてしまっているように感じますね。

そのため、国税庁は将来的な値下がりリスクも考慮して、納税者有利となるよう、下記のように、相続税評価額を公示価格(時価)の80%評価としています。
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お分かり頂けましたでしょうか。国税庁が納税者が損をしないよう配慮してくれているのですね。

【次回】

少し長くなりましたので、次回は、この路線価が相続税にどう影響するか具体的に見ていきたいと思います。
路線価は、時価の80%なので、相続税評価額を80%で割戻しすれば、おおよその時価が分かります!
さいたま市・大宮で「相続」に悩んだら、まずは、長野拓矢税理士事務所(048-779-8512)までお気軽にご相談ください。分かりやすく親切丁寧にご対応させて頂きます。

【著者プロフィール】長野拓矢(ながのたくや)|長野拓矢税理士事務所 所長
税理士として10年以上のキャリアを有する資産税の専門家。
「家族がもっと幸せになるために相続という場面では何をしたらいいか」そんなお客様の想いに寄り添った対応を心掛けると共に、最新の税制のキャッチャアップを常に行い専門家として何ができるのかを常に考え続けている。
相続だけでなく事業承継にも精通しており、地域経済を担う中小企業の経営者向けに自社株式の承継コンサルを多数行ってきた実績が評価され、埼玉県事業承継・引継ぎ支援センター(公的機関)の専門家としても長年従事している。
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