協議がまとまらないときの解決手段
遺産分割協議がどうしてもまとまらない場合、さいごは家庭裁判所で手続きすることとなります。当事者同士の話し合いで解決できれば理想ですが、感情の対立や不動産の評価方法の違いから合意に至らないことも少なくありません。
遺産分割協議がまとまらないままにしておくと、不動産の名義変更や預金の解約ができず、相続手続き全体が止まってしまいます。そのため、協議が行き詰まった場合でも、段階的な解決手段があることを知っておくことが重要です。
遺産分割協議がまとまらないままにしておくと、不動産の名義変更や預金の解約ができず、相続手続き全体が止まってしまいます。そのため、協議が行き詰まった場合でも、段階的な解決手段があることを知っておくことが重要です。
当事者だけで抱え込まないという選択
遺産分割の基本は相続人全員の合意です。しかし、当事者同士では感情が先行し、冷静な判断が難しくなることがあります。
税理士として相続相談に関わる中で感じるのは、専門家などの第三者がいると冷静に話し合いができることも多いという点です。
各種財産の評価や相続税の計算を客観的に整理することで、争点が明確になり、妥協点が見つかるケースもあります。まずは第三者を交えた話し合いを試みることが、現実的な第一歩です。
各種財産の評価や相続税の計算を客観的に整理することで、争点が明確になり、妥協点が見つかるケースもあります。まずは第三者を交えた話し合いを試みることが、現実的な第一歩です。
合意できる部分から進める方法
すべての財産について意見が一致しない場合でも、対応の仕方はあります。実務上はあまり取られませんが、相続人間での関係によっては協議がまとまる財産のみ遺産分割協議書を作成することも一つの手です。これを「一部分割」といいます。
例えば次のような対応が考えられます。
・預金など合意できる財産のみ先に分割する
・価値のある不動産は相続税評価額ベースか時価評価額ベースか決まらないため保留する
・建築中や再開発など特殊事情のある不動産は遺産分割協議がまとまらないと手続きが進まないため先に分割する
争点のある財産まで一括で解決しようとすると、話し合いが硬直化しがちです。部分的にでも前に進めることで、全体の整理がしやすくなります。
例えば次のような対応が考えられます。
・預金など合意できる財産のみ先に分割する
・価値のある不動産は相続税評価額ベースか時価評価額ベースか決まらないため保留する
・建築中や再開発など特殊事情のある不動産は遺産分割協議がまとまらないと手続きが進まないため先に分割する
争点のある財産まで一括で解決しようとすると、話し合いが硬直化しがちです。部分的にでも前に進めることで、全体の整理がしやすくなります。
家庭裁判所の調停という選択肢
話し合いを重ねても合意に至らない場合は、家庭裁判所に「遺産分割調停」を申し立てます。調停では、裁判官と調停委員が間に入り、双方の意見を聞きながら解決を目指します。
裁判のように一方的に決められるのではなく、あくまで合意形成が目的です。第三者が加わることで、当事者同士では見えなかった着地点が見つかることもあります。調停は対立の終着点ではなく、合意に向けた新たな話し合いの場です。
遺産分割調停で、相続人間で財産の分け方が決まった場合、「調停調書」という書面を裁判所が作成します。この調停調書が遺産分割協議書の代わりになりますので、その後、不動産の名義変更や預金の払い戻しといった手続きができるようになります。
裁判のように一方的に決められるのではなく、あくまで合意形成が目的です。第三者が加わることで、当事者同士では見えなかった着地点が見つかることもあります。調停は対立の終着点ではなく、合意に向けた新たな話し合いの場です。
遺産分割調停で、相続人間で財産の分け方が決まった場合、「調停調書」という書面を裁判所が作成します。この調停調書が遺産分割協議書の代わりになりますので、その後、不動産の名義変更や預金の払い戻しといった手続きができるようになります。
調停でも解決しない場合の最終段階
調停が成立しない場合は、「審判」という手続きに移行します。これは家庭裁判所が法律に基づいて分割方法を決定する制度です。
時間や労力はかかりますが、法的に確定した結論が示されるため、最終的な解決につながります。協議がまとまらない状況でも、手続きが無限に停滞するわけではなく、この審判で財産の分け方は確定します。
ただし、不動産の取り扱いには注意が必要です。原則、法定相続分のような分け方になるため、分けづらい不動産は共有にすれば法定相続分通りに分けることができます。しかしながら、争っている相続人同士が不動産を共有しても今後の取り扱いが不安定となるため、実務上は、競売による換価分割、つまり、売却して現金化し平等に分けることが実務上は多いようです。 このため、相続人にとって、どうしても売りたくない不動産がある場合は、こうなる前の段階で話し合いをまとめるか、生前に遺言書を作成してもらう必要があります。
時間や労力はかかりますが、法的に確定した結論が示されるため、最終的な解決につながります。協議がまとまらない状況でも、手続きが無限に停滞するわけではなく、この審判で財産の分け方は確定します。
ただし、不動産の取り扱いには注意が必要です。原則、法定相続分のような分け方になるため、分けづらい不動産は共有にすれば法定相続分通りに分けることができます。しかしながら、争っている相続人同士が不動産を共有しても今後の取り扱いが不安定となるため、実務上は、競売による換価分割、つまり、売却して現金化し平等に分けることが実務上は多いようです。 このため、相続人にとって、どうしても売りたくない不動産がある場合は、こうなる前の段階で話し合いをまとめるか、生前に遺言書を作成してもらう必要があります。
早めの判断が相続全体を守る
相続税の申告期限は相続開始から10ヶ月以内です。これは遺産分割協議が整わない場合でも申告期限が到来します。こういった場合では未分割ということで、一度、法定相続分通りに申告納税をしなければなりません。
さらには、遺産分割協議が長期化すると、不動産の管理や財産運用などにも影響が及ぶ恐れもあります。相続人間で争いになりそうと思ったら、すぐに専門家へ相談し、段階的な対応を検討することが重要です。話し合い、一部分割、調停、審判という順序を理解しておくことで、いざというときに、感情に流されずに冷静な判断ができるはずです。
さらには、遺産分割協議が長期化すると、不動産の管理や財産運用などにも影響が及ぶ恐れもあります。相続人間で争いになりそうと思ったら、すぐに専門家へ相談し、段階的な対応を検討することが重要です。話し合い、一部分割、調停、審判という順序を理解しておくことで、いざというときに、感情に流されずに冷静な判断ができるはずです。
【著者プロフィール】長野拓矢(ながのたくや)|長野拓矢税理士事務所 所長
税理士として10年以上のキャリアを有する資産税の専門家。
「家族がもっと幸せになるために相続という場面では何をしたらいいか」そんなお客様の想いに寄り添った対応を心掛けると共に、最新の税制のキャッチャアップを常に行い専門家として何ができるのかを常に考え続けている。
相続だけでなく事業承継にも精通しており、地域経済を担う中小企業の経営者向けに自社株式の承継コンサルを多数行ってきた実績が評価され、埼玉県事業承継・引継ぎ支援センター(公的機関)の専門家としても長年従事している。
長野拓矢税理士事務所 事務所案内|著者紹介ページはこちら


























