相続税事例(兄弟間で平等な財産の分け方)

相続税事例1
こんにちは。
税理士の長野です。
今回から少しずつ、私が相続税申告のお手伝いをしたケースについて、論点整理をしながら、簡潔に、紹介させて頂きます。
実際の事例を通じて、皆様の将来的な相続に備える一助になれば幸いです。

※個人情報が漏洩しないよう、家族構成や財産内容は脚色しているので、予めご了承ください。
【家族構成】
 被相続人:母(82歳)
 相続人:長男(63歳)、次男(61歳)
 ※父は既に他界
【財産構成】
 土地:自宅4,000万円(時価6,000万円)
 家屋:自宅200万円
 現預金:5,000万円
 保険:長男100万円、次男100万円
 合計:9,400万円(時価1億1,400万円)
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財産構成

【相談内容】
 母に相続が発生したため、相続税申告のご依頼

【ニーズ】
 兄弟2人で財産を平等に分けたい。
相談者

相続人は私と弟の2人だから、財産をどうやったら弟と平等にわけられるかな?

【論点】

相続人が子供だけで仲が良い場合、かかる税金以上になるべく相続後も兄弟関係が悪くならないように平等に分けたいという方は多いのではないでしょうか。

例えば、お兄さんが

「財産を平等に分けよう!」

といって、相続税評価ベースの9,400万円(各人4,700万円ずつ)を半分ずつにしようとすると、
弟さんは

「兄さんは土地を売ろうと思ったら高く売れるだろ!」


と主張するでしょう。

今回のケースでは時価ベースで財産合計額が1億1,400万円(各人5,700万円ずつ)になるため、弟さんにとっては1,000万円も受取る財産が変わってきます。

しかしながら、土地は1筆しかないため、今度はお兄さんが

「土地は平等に分けられないし、実家を管理するのも売却するのも手間がかかる!」

と主張します。

結局のところ、土地建物は兄、現預金は弟とし、平等となるよう差額を金銭にて調整してはどうかというお話になりました。

【長野拓矢税理士事務所からのご提案】

長野拓矢税理士事務所としては、何を基準に「平等」と考えるかを一緒に考えましょうとご提案しました。 例えば、土地は相続税評価4,000万円ではなく時価6,000万円に置き換えることは、相続人の方々も当然考えておりましたし、相続税を支払う前でしたら1,200万円、相続税支払った後でしたら1,460万円と260万円も異なります(詳細、下記参考)。
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このように、相続税が計算できないと相続税を支払う前か後の金額で半分ずつにしたらいいか判断つかないため、我々はご依頼から2ヶ月という短期間で詳細な相続税の計算を行いました。

そして、面談を重ねていくうちに、お兄さんは既にマイホームがあるため、

「タイミングをみて実家を売却しようかな」

と考えるようになりました。

そのため、不動産を売却すると売却時に不動産会社への仲介手数料、そして、譲渡した翌年に譲渡税が発生することをお伝えしました。

こちらも反映すると

「手残りは最終的にどうなるかシミュレーションしたい」

とご兄弟お二人からご要望頂きましたので、下記の通り、試算しました。
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最終的には、譲渡税支払後の手残りをベースに考え、将来的に不動産売却の手間や諸費用も考慮して差額
760万円をざっくり700万円と考え、その半分の350万円を遺産分割にて金銭で兄から弟に渡すことで決まりました。

【ここがポイント!】

このように、我々税理士は、お客様の要望に応じた計算をさせて頂きます。しかし、お客様自身も相続の経験はほとんどの方がないため、どう考えたらいいか、どう要望したらいいか分からないことも多々あります。

そのため、長野拓矢税理士事務所では、決してお客様任せにせず、お客様の要望を聞き出せるよう、簡単な言葉を使ってお客様の悩みを聞き出すよう心掛けております。 そして、いくつか提案した上でその中から選択して頂くほうが、比較しながら決めることができるため、お客様にとって好ましいと考えております。

ここが他の税理士よりも長けている点です。

お客様任せにしておったら、財産額を半分ずつにして分けていたかもしれません。何が正解というわけではありませんが、お客様任せにせず、一度しかない相続で相続人全員が満足いく相続となるよう、質問を交えながら、答えを一緒に考えていくことが、税理士としてこれから求められる能力だと考えています。
【まとめ】財産額を平等にするには下記の点に注意!
①土地は相続税評価ではなく時価にするといくらか
②小規模宅地等の特例を考慮した上で相続税を払ったら手残りいくらになるか
③土地売却の仲介手数料や譲渡税も考慮すると手残りがいくらになるか
さいたま市・大宮で「相続」に悩んだら、まずは、長野拓矢税理士事務所(048-779-8512)までお気軽にご相談ください。分かりやすく親切丁寧にご対応させて頂きます。

【著者プロフィール】長野拓矢(ながのたくや)|長野拓矢税理士事務所 所長
税理士として10年以上のキャリアを有する資産税の専門家。
「家族がもっと幸せになるために相続という場面では何をしたらいいか」そんなお客様の想いに寄り添った対応を心掛けると共に、最新の税制のキャッチャアップを常に行い専門家として何ができるのかを常に考え続けている。
相続だけでなく事業承継にも精通しており、地域経済を担う中小企業の経営者向けに自社株式の承継コンサルを多数行ってきた実績が評価され、埼玉県事業承継・引継ぎ支援センター(公的機関)の専門家としても長年従事している。
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